◎ 農地等に係る納税猶予の特例
 (措置法70条の6)



農業を継続していく場合に受けられる相続税の納税猶予(特例)



この特例 (相続税の納税猶予) の概要は?


農業を営んでいた被相続人から、相続や遺贈で農地等を取得した相続人が、その後も引き続き農業を営んでいく場合に、宅地並評価部分に対する税額が猶予されます。

● 次の場合にも適用があります(被相続人)
(1) 生産物をすべて自家消費に充てていた場合
(2) いわゆる兼業農家(普段は会社勤務している場合も可)
(3) 死亡の日までは農業を営んでいなかったが、既往において相当
 期間 農業を営んでいた事実があり、老齢又は病弱のため、生前に
 住居及び生計を一にする親族に農業経営を移譲していた等の場合

猶予された相続税は、農業を営む相続人が死亡したり、申告期限後20年間農業を営んでいた場合などに、免除されます。(但し、生産緑地は告示の日から30年間営農が必要)

平成4年から、特定市街化区域農地等については納税猶予ができなくなりました
(但し、生産緑地の指定を受けている農地はOKです)


免除される前に農業経営をやめるなどした場合は、その猶予された相続税を納付しなければなりません。



適用の対象となる人 (農業相続人)


@ 農業を営んでいた被相続人から農地等を取得した相続人
A 相続や遺贈で農地、採草放牧地などを取得していること
B 相続税の申告期限までに農業を開始し、その後も引き続き農業経営を行うと認められる者であることを農業委員会が証明した者




  • 配偶者が農業相続人である場合、農業相続人以外の者であるものとして
     計算すれば、配偶者の税額軽減の規定が適用されて、納付すべき相続税額が
    算出されない場合には、その配偶者については納税猶予の特例は適用されない

    配偶者が取得した農地については農業投資価格で計算できない
    (措通70の6-37)




  • 適用の対象となる農地等


    @ 農地及び採草放牧地で、被相続人の農業の用に供されていたもの(注)
    A 準農地は、上記の農地及び採草放牧地とともに取得されたものに限られる
    B 被相続人から相続や遺贈によって取得し、相続税の申告期限までに分割されたもの
    C 相続税の期限内申告書に、この制度の適用を受ける旨を記載し、納税猶予額 及び
      利子税の額に見合う担保の提供
    が必要です

    農 地・
    採草放牧地
    ・準農地
     特定市街化区域農地等以外適用あり
    特定市街化
    区域農地等
    都市営農農地等(※)買取りの申出がされて
    ないもの
    買取りの申出がされた
    もの
    適用なし
     都市営農農地等以外

    (※) 都市営農農地等 : 特定市街化区域農地等のうち、都市計画法第8条第1項第14号
    に掲げる生産緑地地区内にある農地又は採草放牧地

    (注) 農地で作業場、駐車場、倉庫、事務所用の土地は納税猶予の対象とはなりません


    ● 次の場合の農地は特例の対象となりません
    (1) 小作人等に小作させている農地
    (2) 市民農園等に貸し付けている農地
    (3) いわゆる家庭菜園
    (4) 工場敷地等を一時的に耕作しているもの
    (5) 代償分割により他の相続人から取得した農地

    農地法による制限とは?

    ≪相続開始後の手続きに戻る≫


    相続人の中に 農業を継続していく人がいる場合で、この特例の適用を受けようとする際には、期限内に
    財産が分割されていることの他、農業委員会の証明書が必要です。 計画的な準備、段取りが大切です。




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